年の暮れに山から下りてきて人々の怠惰を諌め、災禍を祓い、来たる歳に祝福を与えていく荒ぶる来訪神にまつわる伝説や行事は、主に日本海側に沿って全国に広がっており、その呼び方も形態も土地によって様々ですが、ここではその中でも特に刃物を携えて悪や厄を剥ぎ取るスタイルを持つものを総称して「ナモミハギ」と呼びます。
　ナモミ（アマメ・ナゴメとも）とは、長時間火にあたり続けることによって生じる皮膚の変質（火型）を指す方言であり、これは囲炉裏にばかりあたる怠け者のしるしとされています。そしてそれを剥ぎ取りに来る者、というのがその名の由来です。

　ナモミハギは元来特に決まった形をもたず、“恐るべきもの”として古くからその気配だけが認知されてきた存在だと思われますが、人々がこの存在に積極的に関わり、行事化し、伝統的な継承を行うことにより現在の姿に至ったものと考えられます。
　昭和53年に国の重要無形民俗文化財に指定され、全国的にも有名な秋田県男鹿市の「ナマハゲ」は、今でこそおなじみの鬼のスタイルで知られていますが、本場とも言えるその男鹿地域でさえ、元々は各集落ごとに面の形状が様々であり、また、必ずしも鬼の体裁を成さねばならないものではなかったようです。（ちなみにナマハゲの語源はナモミハギです）

　しかし、“恐るべきもの”を具現化するに当たり、人々がそこに鬼の姿を投影してきたであろう事は想像に難くありません。角や牙は“荒ぶる者”の記号的な概念であり、ナモミハギは決して鬼そのものではないのです。
　ナモミハギは、単に神への敬意でも、鬼への恐怖でもなく、「人知を超えた恐るべき存在への“畏怖”」が形を為したものと理解できそうです。現に、太平洋側の一部ではこのナモミハギを、天狗と見なしている地域もあるようです。

　ナモミハギを英雄のモチーフとして扱うことに対し、様々な意見もあろうとは思いますが、今回我々が創り出した「超神ネイガー」は、決して“男鹿のナマハゲ”そのものではないということは、ここに言及しておきたいと思います。しかし、伝統とその認知度において、ナマハゲがナモミハギ類の代表格であることに異論はありませんし、そして男鹿が、ナマハゲ（ナモミハギ）を“秋田を代表する民族文化”として全国に知らしむる役割を担っていることに感謝しております。

文：ナマハゲ伝導士 No.133

参考URL：「メディア秋田」秋田の文化＞冬の行事＞ナマハゲ
http://www.media-akita.or.jp/akita-events/

その範囲・種類・密度において、秋田県はまさにナモミハギ天国。
びっくりするほどユートピア、びっくりするほどパラダイス。

※福井に「アッポッシャ」を追加。まさみち様、情報ありがとうございます。(2005.12.19)

白地図素材URL：School Icons CLUB＞アイコン＞日本地図
http://www.schoolicons.com/

　まあ、早い話が、ドイツではサンタの後ろにナマハゲが付いてくる、と。
（※民俗学的には、サンタクロースとナマハゲは共に節分の来訪神（年神）としてその役割における共通性の高さが指摘されるとのこと）

＜参考＞

●オーストリアのクランプス（他にも様々な精霊や魔物が登場：スライド式）
「Scirocco」芳賀八城の WEB ギャラリー より

●ミュンヘンのクランプス（最高にクールで絶望的：恐ろしいッ！）
京都新聞 電子版 フォトダイアリー より